薄暗い部屋で、は思わず声をあげた。それは、叫び声でも、泣声でも、怒声でもなく、ただひたすらに、女の声であった。


「...あ、あ」


身体の芯を熱くする感覚に、ぎゅう、と無意識に目の前の男の腕に掴まったは、はっとしてすぐにその体を押し退けようとする。そのまま身を捩って何とか逃れようとするけれども、結局のところそれは全くの無駄であった。抵抗を見せるの両目からはぽたぽたと涙が滴り落ちていて、それをざらりと舌先で絡め取ると、ハレルヤはぐいと強い力でを己の下まで引き戻した。そうしてもう、何度目になるかわからない結合を再び繰り返す。丁寧ではないその一連の行為のせいで、シーツも、髪も、衣服も、何もかもがぐしゃぐしゃだった。


「気持ちイイだろ」


は、と息を吐くついでに、ハレルヤはまるで答えを知っているかのように短く笑った。ぐ、とハレルヤが遠慮などなく深く腰を沈めても、は声をあげてびくんと跳ねるだけで痛がるようなそぶりは少しも見せない。


「またイったのか」

「や、だめ、」

「だめ?」


そう言って、微かに抵抗するをベッドの上にうつ伏せにすると、ハレルヤは両手での腰を引き寄せた。ずぷ、と小さくとても卑猥な音が鳴る。挿入を繰り返す度に、の中に注ぎ込んだ欲情が滴り落ちてシーツを汚した。ぞくぞくする、とハレルヤは思った。無理矢理だとか、恋人じゃないとか、そういう背徳感が酷く己の性欲を駆り立てる。


「アレルヤはこういうこと してくれねェんだろ」


うつ伏せのに覆い被さって、ハレルヤはわざとはっきりと口に出した。途端にが抵抗を始めたので、再び押さえ付けて突き上げる。これでいい。泣きじゃくるを一度強く抱きよせて、ハレルヤは小さく笑った。悪いことをしているという認識だけは殺してはならない。それがこのゲームの絶対のルールなのだ。









彼が愛を殺した理由





030909
(伝わらないもどかしさなんて 触れられない寂しさに比べたら無に等しい)